日本家族研究・家族療法学会 第34回つくば大会

大会長ご挨拶

第34回大会長 斎藤 環 第34回大会長 斎藤 環

 近年、わが国では「オープンダイアローグ(開かれた対話、以下OD)」への関心が急速に高まりつつあります。ODとは、フィンランド・西ラップランド地方にあるケロプダス病院のスタッフたちを中心に、1980 年代から開発と実践が続けられてきた精神病に対する治療的介入の手法にして思想を指す言葉です。薬物治療や入院治療をほとんど行わずに、急性期の精神病を対象として、きわめて良好な治療成績を上げており、近年国際的にも注目が集まっています。

 技法としてのODは、家族療法の伝統の上に、明確に位置づけられます。家族システム理論、ナラティブ・セラピー、リフレクティング・プロセスなどの考え方を援用しつつ、力動精神医学やバフチンのポリフォニー理論なども取り込みながら30年間にわたって洗練されてきました。

 今大会では、ODの創始者の一人にして、理論的主導者でもあるヤーコ・セイックラ教授を特別講演の講師にお迎えすることになりました。また大会企画として、ODをテーマとする2つのシンポジウムも予定しています。大会のテーマ「対話の未来」は、対話のあり方を根本から見直しつつ、家族療法の思想的伝統を再評価し、その実践を未来へとつないでいくための宣言でもあります。家族療法の枠組みにこだわらず、対話実践に関心のあるすべての方の参加を待望しています。

 それでは、盛夏のつくばでお会いしましょう!